面接が決まった企業や応募をするかどうか迷っている企業について、企業研究をしてみようと思った場合、色々な方法があると思います。
- 企業HPを見てみる
- インターネット検索やSNS分析
- 報道、ニュース記事をリサーチする
- 業界レポートや市場調査を閲覧する
- IR資料から財務指標を確認する
様々な方法がありどれが正解ということはないですが、今回は【生産性】の観点から分析する方法をご紹介します。
目次
生産性とは何か
生産性という言葉の意味はWikipedeiaによれば
経済政策に対する生産要素(労働・資本など)の寄与度、あるいは、資源から付加価値を産み出す際の効率の程度
と記載があります。
色々な解釈がありますが、今回は企業分析で用いる為の生産性ですので、「一人当たりどの程度の売上高を生産しているか」という前提とします。
※一般的に労働生産性を出す場合、売上高ではなく「付加価値(売上-仕入-外注費)」という指標を用いますが、面接の為に公開情報の中から企業研究の為にこの方式を利用した場合、リサーチ自体に多くの時間がかかってしまいます。その為、転職準備において簡単に分析する意味では、「売上高」を基準に考えて簡単に比較していく形が現実的かと思います。
まず、売上高を構成する要素をシンプルに分割すると、以下の数式で表すことができます。
1.売上高=生産性×人数
売上高を生産性を元に考えた場合、「生産性」×「人数」=「売上高」と考えることができます。
少ない人数でより多くの売上高を上げた場合、「生産性」が高くなります
2.売上高=単価×量
今回のテーマとは逸れますが、「単価」×「量」という数式でも「売上高」を表現することができます。販売量を変えずに売上を上げたい場合、必然的に「単価を上げる」という戦略を企業としては掲げることとなります。
勿論、これ以外の方法でも売上高を示すことはできますが、今回はまず、”大きい括り”で企業を捉えることをしたい為、「生産性×人数」「単価×量」の2つを紹介しました。
生産性が高い企業の特徴
それでは、生産性が高い企業の特徴として、どのような点が可能性として考えられるでしょうか。
・事業の競争優位性がある可能性
生産性が高いということは、上述の通り「少ない人数で多くの売上高を上げている」ということになります。すなわち、競合とは異なる何らかの「仕掛け」によってそれが実現できている可能性が高いです。さらにその「仕掛け」が他社が模倣することが難しい場合、それがその企業の事業上の魅力と言えます。
・利益率が高い可能性
生産性が高い場合でかつ、企業としてのコスト構造が同業他社と比較し大きく異ならない場合、自ずと会社としての利益率が高くなります。
これは前項に挙げた”競争優位性”を有する事と繋がるケースも多く、例えば、自社運営のWebサービスを用いて仕入れを行っている場合などであれば、競合他社と比較し売上に対する原価が下がり、それに伴い利益体質になりやすいケースなどが考えられます。
・社員の平均年収が高い可能性
これもあくまで可能性ではありますが、一人当たりの生産性が高いという事はそれだけ一人一人に対して給与を支払うだけの原資がある可能性が、そうでない場合と比較して高くなります。
とは言え、生産性が高く利益体質ではあるが、社員の平均給与はあくまで他社と同水準に抑えることで会社としての利益を更に蓄積するケース、あるいはその利益を次の投資に回すケースも当然多くあります。なのであくまで、給与や賞与を支払う為の原資が獲得しやすいという観点において平均年収が高くなる可能性があります。
逆に、売上高の情報が非公開の場合でも、社員の平均年収が高いという事実が確認できればそこから逆算的に考え「この企業は生産性が高いのではないか」と推察することもできます。
生産性を計算する方法
それでは、どのように企業の一人当たり生産性を計算すれば良いか説明していきます。
1.売上高を調べる
まず、売上高を検索します。
上場企業の場合はHPのIRページにて詳しい数字が開示されています。
非上場企業の場合、売上高の公開・非公開は企業によってかなり分かれるところです。
そこでまずは、上場/非上場問わず、Google検索にて「企業名 + 売上高」で検索することをお勧めします。
ここで全く検索にヒットしない場合は残念ながら売上高をインターネット上から調べることは難しい為、エージェントを活用して内情をこっそり教えてもらう等の方法で、おおよその売上高を把握すると良いでしょう。
また、聞ける可能性は決して高くはないのですが、実際の面接で人事の方に聞いてみたり、会社全体が難しければ自身が関わることになる事業部についての売上高だけ聞いてみる、などの方法もあるでしょう。
2.従業員数を調べる
次に、従業員数を検索します。
これは売上高とは違い、検索すればヒットする可能性が高いですし、企業の公式HPにも記載がある場合も多くあります。
3.売上高を従業員数で割る
あとは、「売上高」を「従業員数」で割るだけです。
例)
売上高=10億円
従業員数=100名
生産性=10億÷100=1000万円
勿論、会社には売上を生み出す人、生み出さないバックオフィス等の人、など様々な職種の方々が在籍しますが、それも総じて単純計算してしまうことで、粗々ではあるものの、同じ軸での比較になり差分を発見する意味では役立ちます。
生産性が高い、低いの基準
何を持って、生産性が高い、低いと判断する基準となるでしょうか。
広く一般的な観点との比較
諸説ありますが、1000万円の生産性を上回るか下回るか、これを基準として良いと思います。
東京の中小企業で勤務する正社員の年収について調べてみると、令和元年度の年間給与は約550万円という東京都の調査があります。労働分配率(付加価値に占める人件費の割合を示す経営指標)を50%と仮定した場合に、約1000万円となります。
勿論、冒頭でも述べたように今回は付加価値ではなく売上高で生産性を「ざっくり」出す方法を用いていますが、それを差しひいて考えた場合でも、生産性は「1000万円は欲しい」という点は多くの経営者が納得できる数字だと思われます。
同業種内での比較
業種内での比較ができるようならば、それがベターでしょう。
「〇〇業界でこのようなサービスを展開している場合、生産性はいくら以上だと優秀だ」という知識があればそれを参考にしたいところです。一方で、同業種比較といっても、IT/Web業界の企業は全く収益構造の異なる複数事業を展開しているケースも多く、一概に比較が難しい場合も多いのが実情です。
最後に
上記を総合的に考え、一旦は一人当たりの生産性「1000万円」をひとつの基準としつつその水準をどれほど上回っているか、という観点で見てみるのが良いのではないでしょうか。
後編では、実際に幾つかのサンプルを交えて生産性の観点から企業を分析してみたいと思います。

HOKADOKO運営チームの編集部です。IT/Web領域の転職支援事業やHOKADOKOを通じたサービス提供をしていく上で得た転職活動にまつわるノウハウをお伝えしています。
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